うちの子たちが所属していたクラブチームでは、試合や練習によってポジションが変わることがよくありました。
前の試合ではフォワードだったのに、今日はサイドバック。
その前は中盤で、次はセンターバック。
そんな起用が続くと、親としては少し不安になることもあります。
「本来のポジションはどこなんだろう」
「どこでも使われるのは、評価が定まっていないから?」
「一つのポジションに絞った方が上手くなるんじゃない?」
特に、周りに同じポジションで試合に出ている子がいると、余計に気になるかもしれません。
ただ、
所属していたチームでは、いろいろなポジションができるように、子どもたちは複数の場所でプレーしていました。
通っていたレアルスクールでも、ポジションを固定して練習することはありませんでした。
そのため、うちでは小さい頃から、
「今日はいつもと違うポジションだった」
ということが当たり前になっていました。
結果的に、息子2人ともゴールキーパー以外のポジションは、ひと通り経験しています。
もちろん、どこでも同じように上手くできるわけではありません。
得意なポジションもあれば、やりにくそうなポジションもあります。
それでも、いろいろな場所でプレーした経験は、その後のプレーの幅を広げるうえで、かなり役立ったと思っています。
ポジションが変わる=評価の変化と考えない方がいい
子どものポジションが変わった時、親はつい意味を考えてしまうことがあります。
「フォワードからディフェンダーになった」
「真ん中ではなく、外に置かれた」
「いつものポジションを別の子がやっている」
こうした変化を見ると、
「評価が下がったのかな」
と思ってしまってもおかしくありません。
でもこれは、親が無意識に、ポジションに序列をつけてしまっているからかもしれません。
フォワードなら評価されている。
ディフェンダーになったら評価が下がった。
真ん中を任される子の方が上手い。
でも、実際は、そんな単純ではありません。
試合の相手やチームの人数によって、必要なポジションは変わります。
コーチが違う場所での適性を見ていることもあります。
今までとは違う経験をさせたい場合もあります。
子どものポジションが変わっただけで、親がすぐに、
「今日は評価されていなかったね」
「やっぱりフォワードで使ってほしいよね」
「なんであのポジションだったんだろう」
と話してしまうと、子どもまで、ポジションに優劣をつけるようになってしまいます。
すると、いつもと違う場所でプレーすることを嫌がったり、やる前から気持ちが下がったりすることもあるかもしれません。
うちでは、どこのポジションになっても、
「今日はそこから何が見えた?」とあとで聞いてみよう。
そのくらいの気持ちで見るようにしていました。
違うポジションをすると、味方にしてほしいことが分かる
いろいろなポジションを経験する一番の良さは、ほかの選手が何を見ているのか分かることだと思います。
たとえば、ディフェンダーを経験すると、前の選手にどう動いてほしいかが分かります。
パスを出したくても、前の選手が相手の後ろに隠れていたら出せません。
近くに寄ってきてほしい時もあれば、逆に離れてスペースを作ってほしい時もあります。
中盤を経験すると、後ろからボールを受ける難しさが分かります。
相手に囲まれた状態でパスを受けると、すぐに取られてしまいます。
だから、受ける前に周りを見ることや、身体の向きを作ることが必要になります。
フォワードを経験すると、パスを出す側に何をしてほしいかが分かります。
早く出してほしい時もあれば、もう少し待ってほしい時もあります。
走り出したのにパスが出てこないと、次はどのタイミングで動けばいいかも考えるようになります。
サイドを経験すれば、中央の選手にどう関わってほしいかが分かります。
中央を経験すれば、サイドの選手がどんな動きをしていると助かるかが分かります。
| 経験したポジション | その場所から分かること |
|---|---|
| ディフェンダー | 前の選手にどう動いてほしいか |
| 中盤 | 後ろからボールを受ける難しさ |
| フォワード | パスを出す側に何をしてほしいか |
| サイド | 中央の選手にどう関わってほしいか |
| 中央 | サイドの選手がどんな動きをしていると助かるか |
違うポジションを経験することは、ただプレーする場所が変わるのではありません。
その場所から見える景色を知ることができるんです。
そして、
「このポジションの選手は、こんなことを考えているんだ」
「こう動いてもらえると助かるんだ」
と分かるようになります。
それは、自分の得意なポジションに戻った時に役立ちます。
2人ともゴールキーパー以外のポジションを経験した
うちの息子たちは、2人ともゴールキーパー以外のポジションを経験しています。
フォワード。
両サイド。
中盤。
両サイドバック。
センターバック。
どのポジションも、試合や練習の中でやってきました。
もちろん、すべてのポジションが同じように得意だったわけではありません。
攻撃の方が力を出しやすい時期もありました。
守備の方が安定して見える時期もありました。
チームによって求められる役割が違うこともありました。
でも、親として、
「この子のポジションは絶対にここ」
と決めつけることはしませんでした。
うちの子たちは、足がものすごく速いわけでもありません。
身体が特別強いわけでも、身長が高いわけでもありません。
身体的な特徴だけで、
「この子はこのポジション」
と決まりやすいタイプではなかったと思います。
だからこそ、いろいろな場所でプレーすることになったのかもしれません。
でも、それをマイナスには考えていませんでした。
どこに入っても、周りを見て、状況を判断しながらプレーする。
その力を身につければ、チームや年代が変わっても対応しやすいと思っていたからです。
どこでプレーしても大事なのは、周りを見ること
ポジションが変わっても、大事にしていたことがありました。
それは、周りを見ることです。
うちでは難しい言葉を使わずに、
「キョロキョロしよう」
と教えていました。
ボールが来てから周りを見るのではなく、来る前からキョロキョロする。
味方がどこにいるのか。
相手がどこにいるのか。
どこが空いているのか。
次にどこへ動けそうか。
これを繰り返すように伝えていました。
ポジションによって見る場所、見える場所は変わりますが、周りを見ることの大切さは変わりません。
いろいろなポジションを経験すると、見る範囲が広がります。
前だけ見ていればいいわけではない。
ボールだけ見ていればいいわけでもない。
後ろに味方がいる。
逆側に空いている場所がある。
自分が動けば、別の選手が使える場所ができる。
いろいろな場所でプレーしたからこそ、そういうことを考えやすくなったのだと思います。
2人とも突出した身体能力があったわけではありません。
それでも複数のポジションでプレーできたのは、小さい頃から周りを見ることを続けてきたことが大きかったと思っています。
親が「本当のポジション」を決めなくてもいい
子どもがあるポジションで活躍すると、親はそこを本来のポジションだと思いたくなります。
ゴールを決めれば、
「やっぱりフォワードが合っている」
と思う。
守備で活躍すれば、
「ディフェンダーの方がいいのかもしれない」
と思う。
でも、
小学生の時点で、ポジションを決めなくていいと思います。
身体はこれから大きくなります。
プレースタイルも変わります。
チームが変われば、求められる役割も変わります。
小学生の時にフォワードだった子が、中学生でディフェンダーになることもあります。
その逆もあります。
今いるチームではサイドでも、別のチームでは中央でプレーすることもあります。
だから親が、
「この子はこのポジションの選手」
と、早い段階で決めつけない方がいいと思います。
子ども自身が、
「このポジションをやりたい」
と思うことは悪くありません。
でも、違う場所を任された時に、
「自分のポジションじゃないから」
と最初から拒否してしまうのは、もったいないです。
なぜなら、そのポジションでしか見えないものがあるからです。
そして、そこで知ったことが、あとで自分の得意なポジションに戻った時に役立ちます。
いつもと違うポジションでも、親は焦らなくていい
子どもがいつもと違うポジションで試合に出ていると、親はこんなことが気になると思います。
慣れていないから、うまく動けない。
ボールに触れない。
ミスが増える。
そんな時に、
「やっぱりそこは向いてないね」
「いつものポジションの方がよかったね」
と言ってしまうと、子どもは新しいポジションに前向きに挑戦しにくくなるかもしれません。
慣れていないのだから、うまくできないのは当たり前です。
だから大事なのは、そのポジションで何を感じたかだと思います。
「後ろからだと、前の動きがよく見えた」
「ボールを出すところがなかった」
「相手が近くて受けるのが難しかった」
「前の選手にもう少し動いてほしかった」
こういうことを肌で感じ、知るだけでも、経験した意味があります。
だから、結果だけでポジションが合う・合わないを決めない方がいいです。
今日はうまくできなかったとしても、その経験が別の場面でつながることがあります。
ポジションが定まっていないように見えても、子どもの中では見える景色が増えている。
そう考えて見守る方がいいと思います。
まとめ:ポジションが変わることも、成長の一つ
子どものポジションが何度も変わると、親は不安になることがあります。
「評価が定まっていないのかな」
「一つに絞った方が上手くなるのでは」
「本当はどこが向いているんだろう」
でも、複数のポジションを経験するからこそ分かることがあります。
その場所から何が見えるのか。
どんなことを考える必要があるのか。
味方にどう動いてほしいのか。
自分がどう動けば、仲間がプレーしやすくなるのか。
うちの息子たちは、チームやレアルスクールでポジションを固定されず、ゴールキーパー以外の場所をひと通り経験してきました。
ポジションによって、得意・不得意はあります。
それでも、いろいろなポジションを経験したことは、周りを見る力や、味方のことを考える力につながったと思っています。
だから、子どものポジションが変わった時、親がすぐに「評価が下がった」と考える必要はありません。
「今日は違う場所から、どんな景色が見えたんだろう」
そのくらいの気持ちで見守ればいいと思います。
ポジションが定まっていないのではなく、いろいろなポジションを知っていく学びの途中です。
その経験が、あとで子どものプレーの幅を広げてくれる。
僕はそう考えて、焦らず見守ってきました。

