『広がれ』はNG?息子が小1でお団子サッカーを卒業した、教えすぎない親の言葉選び 

親子で育てるサッカーの考える力

少年サッカーを見ていると、よく聞く言葉があります。

「スペースを見ろ」
「空いているところに動け」
「広がれ」
「ポジションを取れ」

サッカーを知っている人からすると、どれも当たり前の言葉なのかもしれません。

でも、子どもにとっては意外と難しい言葉だと思います。

特に、まだ低学年だったり、保育園・幼稚園のころからサッカーを始めた子にとって、「ポジショニング」という言葉はかなり抽象的です。

空いている場所と言われても、どこが空いているのか。

そこに行けばいいのか。

なぜそこに行く必要があるのか。

子どもは大人が思っているほど、言葉だけで理解できるわけではありません。

僕も、子どもにサッカーを教えるとき、最初から「ポジショニング」という言葉は使いませんでした。

代わりに使っていたのが、
「邪魔」
という言葉です。

専門用語でも、サッカー用語でもありません。

でも、子どもにはこの方が伝わりやすかったんです。

この記事では、うちがお団子サッカーから少しずつ卒業していくために、子どもにサッカーについて伝えるときに使っていた言葉について書いていきます。

「広がれ」は、子どもには難しい

特に少年サッカーでよくあるのが、ボールの近くに子どもたちが集まってしまう場面です。

いわゆる、お団子サッカーです。

ボールを触りたい。
ボールを取りたい。
自分も関わりたい。

そう思うのは自然なことです。

また、聞いた話ですが、人は集団で狩りをしていたときの名残で、動くものについて行き、集まる習性があると聞いたことがあります。

確かに、プロでもボールウオッチャーになって、ポジションをずらしてしまうことがあるので、人の本能に刻まれた部分なのかもしれません。

だから、ボールの近くに集まる子を見て、「広がれ」と言ってもなかなか広がらないのは、当たり前のことだと思っています。

大人は試合全体を見ながら、

「あそこが空いている」
「そこに立てばパスがもらえる」
「そこにいれば相手が困る」

と考えられます。

でもこれらは、ピッチの外から見えているものです。

子どもはボールを見ています。
相手を見ています。
目の前のプレーに一生懸命です。

その状態で急に「広がれ」と言われても、どうすればいいか分からないのが当然だと思います。

だから、うちでは「広がる」という言葉を使いませんでした。

お団子サッカーから抜けるために、「広がる」と言うのではなく、もっと子どもが分かりやすい言葉にしました。

それが「邪魔」です。

うちでは「邪魔じゃない?」と伝えた

例えば、味方がボールを持っているとします。

そのすぐ近くに自分も寄っていく。

すると、味方がドリブルする道がなくなる。

味方がパスを出そうとしても、自分が近すぎて出しにくい。

相手も味方も自分も、みんな同じ場所に集まって、ボールの蹴り合いになってしまう。

こういうときに、

「もっと離れなさい」
「そこじゃない」
「スペースに行け」

とは言わずに、

「味方の邪魔になってない?」

と聞いていました。

この言い方だと、子どもも考えやすかったみたいです。

「自分がここにいることで、味方はやりにくいのかな?」
「ここにいると、味方の行きたい場所をふさいでいるのかな?」
「もう少し離れた方が、味方がプレーしやすいのかな?」

こうやって、少しずつ自分の立ち位置を考えられるようになり、

1年生のころには一人だけ、ボールの取り合いをしている場所から離れた場所にいるようになりました。

お団子サッカーからの卒業は、意味も分からずボールから離れることではなく、味方の邪魔をしない場所を考えることから始まると思っています。

味方の邪魔をしない場所に立つ。
味方が動きやすい場所を空ける。
味方が困らない距離にいる。

これだけで、最初は十分だと思います。

「正しい場所」を教えるより、邪魔かどうかを一緒に見る

親がサッカー経験者だったり、サッカーをよく見ていたりすると、どうしても正しい場所を教えたくなります。

「そこじゃない」
「もっと右」
「もっと開いて」
「今は中に入れ」

言いたくなる場面はたくさんあります。

でも、毎回正解を教えてしまうと、子どもは指示を待つようになってしまいます。

だからうちでは、僕が感じた答えを、先に言わないようにしていました。

もちろん、試合や練習の中で、つい口を出したくなることもあります。

でも、意識していたのは、子どもに「考えさせる場」を作ることでした。

「そこがダメ」と決めつけるのではなく、

「そこにいるとどうなるかな?」と考える入り口を与えてあげる。
それが、「邪魔になってない?」という言葉でした。

また、「どうして邪魔なのか?」も伝えていました。

たとえば、

敵がきて、近くの味方にパスをしたとします。

そのとき、パスを受けた味方が近すぎると、自分にきた敵が、そのまま味方のボールを奪いに行くことができます。 

また、近くにいすぎると、味方がドリブルで行こうとした道を塞いでしまうこともあります。

だから、この「どうして邪魔なのか?」も伝えてあげてください。

そうすると、場面を思い浮かべやすくなります。

近すぎると起きること子どもに伝えたいこと
自分にきた敵が、そのまま味方のボールを奪いに行くことができる近すぎると、味方も相手に狙われやすい
味方がドリブルで行こうとした道を塞いでしまう近すぎると、味方の進む道をなくしてしまう

また、大事なのは「あの場所はダメだったよね」と言わず、

「味方の邪魔にならない場所ってどこだったかな?」と一緒に考えること。

そうすると、子どもも嫌な気持ちにならずに考えてくれます。

「味方の邪魔をしない」は、お団子サッカーからの卒業

サッカーのポジショニングというと、細かい指示を想像するかもしれません。

でも、子どもにとって最初に大事なのは、もっとシンプルなことだと思います。

それは、味方の邪魔をしないことです。

味方がドリブルする道をふさがない。
味方がパスを出す場所をつぶさない。
味方が使いたい場所に近づきすぎない。

これができるだけで、チームの中での動きはずいぶん変わります。

特に低学年のうちは、ボールに近づくことが、頑張っている証拠のように見えることがあります。

でも、サッカーはボールの近くにいるだけが、関わり方ではありません。

少し離れた場所にいることで、チャンスが増えたり、味方がプレーしやすくなったりする。

そこに立たないことが、味方を助けることもあります。

低学年以下の子どもにとって、これを理解するのは難しいことですが、この感覚が少しずつ入っていくと、自然と「空いている場所」も見えるようになっていきます。

お団子サッカーからの卒業は、いきなり難しいポジショニングを、覚えることではありません。

まずは、味方の邪魔をしない。

味方がプレーしやすい場所にいる。

そこからでいいと思っています。

親がサッカー用語を知っているかどうかは関係ない

この関わり方の良いところは、親がサッカーに詳しくなくてもできることです。

もちろん、サッカーを知っている親なら、もっと細かく説明できるかもしれません。

でも、子どもにとって大事なのは、難しい言葉を覚えることではありません。

それより、自分で見て、考えて、少しずつ動けるようになること。

試合や練習を通して、

「味方の邪魔になってないかな?」
「もう少し離れたら、味方はやりやすいかも」

こういうことを考えて、動けるようになっていく。

それが一番の成長だと考えています。

だから、試合中に大声で指示を出す必要はありません。

むしろ、試合中は子どもも必死。

だから、その場であれこれ言っても、頭に入らないことが多いんです。

うちでは、試合や練習が終わったあとに、

「あのとき、味方の邪魔にならない場所にいたよね」
「さっきの立ち位置、パスがきたらゴールだったよね」

そんなふうに、できていた場面を拾うようにしていました。

子どもは、注意されたことよりも、見てもらえたことの方が、記憶に残ると思っています。

「ちゃんと見てくれていたんだ」
「自分の動きに意味があったんだ」

そう感じられると、次も自分で考えて動こうとしてくれます。

うまくできない日があってもいい

もちろん、毎回うまくいくわけではありません。

ボールに寄りすぎる日もあります。
味方と近くなりすぎることもあります。
何も考えずに立っているように見える日もあります。
でも、それでいいと思っています。

子どもは、何度も同じような場面を経験しながら、少しずつ分かっていきます。

一度言っただけで、理解できるものではありません。

一度できたからといって、次も必ずできるわけでもありません。

だから、僕たち親が、焦りすぎないことが大事です。

「前に言ったでしょ」
「なんで分からないの」
「そこじゃないって」

こう言いたくなることが、あるのも分かります。

でも、そこを少しこらえて、

「味方の邪魔になってなかったかな?」
「もう少し味方がやりやすい場所ってあったかな?」

という言葉を繰り返してあげる。

親が正解を与えるのを急ぎすぎると、子どもは考えることを止めていってしまいます。

逆に、親が一緒に見て、一緒に考える姿勢でいると、子どもは自分の頭で考えるようになっていきます。

まとめ|お団子サッカーからの卒業は、難しい言葉より親子の会話から育つ

少年サッカーで「考える力」を育てるというと、難しいと思われるかもしれません。

でも、最初から高度な戦術や用語を教える必要はないんです。

うちがやっていたのは、とてもシンプル。

味方の邪魔にならない場所を考える。
味方がプレーしやすい場所を考える。

そのために、「邪魔」という言葉を使っていました。

ただそれだけです。

でも、このシンプルな会話が、子どもにとって、「自分で見る」「自分で考える」きっかけになりました。

親がぜんぶ教えるのではなく、子どもが自分で気づけるように促す。

そのためには、難しい言葉よりも、子どもがイメージしやすい言葉の方がいいと思います。

お団子サッカーから卒業するために、どう伝えたらいいか迷ったら、まずは

「味方の邪魔になってなかった?」

と聞いてみてください。

この一言からでも、子どもは少しずつ周りを見て、考えるようになります。

そして、ボールだけではなく、味方や自分の立ち位置まで考えるきっかけになっていきます。

お団子サッカーからの卒業は、ポジショニングの話につながっています。

でも、その入り口は、難しいサッカー用語ではなく、親子で交わせるこんな一言から始まったんです。

この記事が、子どもがサッカーをしている親御さんのヒントになれば嬉しいです。